同じ日本人でも、人生でバブル経済を経験しているか否かで、日本の経済状況について抱く印象が違うのではないかと思います。
例えば、私が就職活動をした1992年はバブル経済が崩壊。それから長く続く就職氷河期の初年だったので、就活ではとても苦労しましたが、18才までバブル期だったので、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた「強い日本」を覚えています。
懐かしいですが、1989年の世界の企業時価総額ランキングを見てみましょう。
すごくないですか?
日本とアメリカの企業がトップ15位を独占しています。
ただ、残念ながら、ランクインしている日本の金融機関のほとんどが合併等でなくなっていますね。若い方は知らない社名ばかり、という印象を持たれるかもしれません。
続いて、2022年のランキングです。
アメリカ企業の強さが際立っています。
アジア企業では、半導体製造の台湾セミコンダクター(TSMC)が10位にランクイン。
「WeChat」と呼ばれるメッセンジャーアプリで有名な中国のテンセント。
財閥系のサムスン電子が名を連ねています。
とても残念ですが、日本企業は1社もありません。
トヨタがなんとか38位に入っている状況です。
中国とは国土・人口・資源が異なるので仕方ないと思いますが、サムスン電子はトヨタの1.6倍か…TSMCはトヨタの2倍?!半導体製造って昔は日本が席捲していたのに…と韓国や台湾に負けたような気分になってしまいます。
ただ、私たちの最後の希望であるトヨタを見てみると、1989年は541億円、2022年は2807億ドルなので、30年で5倍に成長しているのです。
バブル崩壊やリーマンショックを乗り越えての5倍成長は、素晴らしいと思います。
しかし、我らがトヨタも、これから電気自動車やシェアリングエコノミーの時代になれば、現状維持すら難しくなるかもしれません。
(この変換期に危機感を感じているのはなによりトヨタ自身なので、日本を代表する企業としてきっと生き残ってくれるだろうと信じていますが)
私より年齢が上の世代は、トヨタ、ソニー、パナソニック、東芝など強い製造業のイメージがあると思いますが、昨年の時価総額ランキングのとおり、日本企業はもはやトップ30位に1社も入っていないのです。
日本はゆっくり沈みゆく船のようなものです。
この30年間、日本経済を牽引する成長産業は生まれず、労働人口はどんどん減っていきます。
GDPの世界ランキングでは3位ですが、それは人口が多いためで、労働生産性でみると28位にまで下落します。
だからといって「日本はオワコン。優秀な人材は海外に移住すべき」と主張する人に同調するつもりはありません。
徐々に沈んでいることに気づかずに沈没することは最も避けなければならない事態です。
でも沈みつつあることを自覚して対策をしていけば、沈没(ギリシャのような経済破綻)は回避できるはずですし、経済大国でなくても、楽しく過ごす方法はあると思います。
まず必要なのは気づきと意識の転換です。
私は日本が大好きだし、日本に生まれてラッキーだと思います。
例えお金持ちでなくても、幸せに生きるヒントのようなものを探して、シェアしていければいいなぁと思います。
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